日本人に心から喜ばれるロッシーニを目指した4ヶ月間

投稿日時:2014/09/22  カテゴリー名:ブログ

CAPANNAの料理は元々、イタリアを中心に

フランスやスペインの料理の美味しい部分を利用し、

そこに召し上がる日本人の方々が、ごく自然に「美味しい」と思えるよう、

和の食材やテイストを絶妙にアレンジした「南欧風料理」なのです。

24年前の起業時から存じ上げていた

フランス料理の最高峰「ロッシーニ」でしたが

お客様が気軽に楽しめるプライスでご提供することは難しい料理でした。

上質な牛フィレ肉の中心部位をミディアムレアでソテーし、

フレンチフォアグラをのせて、

牛肉を煮込んだダシスープにマディラ酒を加えて煮詰め

トリュフをたっぷり加えたペリグーソースを添えるのが「ロッシーニ」です。

メニューにしてもCAPANNAのプライスゾーンをはるかに超えた高額になってしまいます。

長年、あきらめていました。

ここ数年で銀座にある「俺のフレンチ」にて利益度外視の¥1,598で提供される

「ロッシーニ」の人気を耳にしておりました。

それでも、原価率80%程度では無理がくると思って傍観していました。

思った通り、「俺のフレンチ」の「ロッシーニ」は限定?食になり、

その限定数も段々とわずかな数に。

4ヶ月前くらいには私の創作魂に火がつきました。

高額過ぎる「ロッシーニ」をそのままメニューにするのではなく、

「日本人の方々に心から喜ばれるロッシーニを創ろう」

肉とフォアグラの部分の創作は、ある程度アイデアがありました。

問題は贅沢過ぎる「ペリグーソース」をどのように表現するか、でした。

濃厚な旨みと食欲をそそる芳醇な香り・・・。

CAPANNAではブランド豚である千葉産麦豚をつかっていました。

麦を中心とした植物性飼料のみで育てられた、旨味が多く、やわらかく、

臭みが全くない肉質が特徴です。

その千葉産麦豚をたっぷりの香味野菜とハーブでコトコト5時間煮込むことで、

更にとろとろにやわらかく、旨味を十分に吸い込んだ肉を一晩ねかせることで、

バターソテーしただけで、とろとろで旨味たっぷりに。

その味わいにも、日本人の方々が自然に美味しいと思っていただけるよう、

実は5時間煮込む際に、味が前に出ない程度の醤油と日本酒を入れています。

DSC_4967

この煮汁を使おうと思いました。

オリーブオイルでニンニクをしっかり香ばしく焼いて、

その上に玉ねぎのみじん切りをたっぷり焼いて甘味を出し、

香りとスパイス感のためにブラックペッパーを多めに入れました。

それでも、そこに食欲をそそる芳醇な香りが必要でした。

岐阜県八百津の「臨醐山黒酢」に目をつけました。

この臨醐山黒酢は、自然な米の甘味を生かして醸造した食欲をそそる豊かな香りが特徴です。

上記を焼いているところに多めの臨醐山黒酢を注ぎ、

美味しさと豊かな香りを逃がさないように、適度に酸味のみをとばしました。

そこに千葉産麦豚の煮汁を大量に加えて煮詰めました。

仕上げに欧風テイストを加えるために適度に無塩バターを加えてみました。

自分自身でおこがましいですが、これまでに創ってきたソースよりも

濃厚な旨味と芳醇な香りのソースに仕上がりました。

春から構想し続け、もう夏が近づいていました。

数種の料理に、このソースを試してみました。

お客様は料理というより「このソースが美味しい!」と仰り、

石窯ライ麦ブレッドをオーダーされて、ソースを楽しんでいらっしゃいました。

約2ヶ月半試して、多くのお客様にご好評をいただきました。

当たり前かもしれませんが、千葉産麦豚のローストとの相性が抜群でした。

秋メニューの企画が近づいてきました。

牛フィレの代わりには、やはり、ほんのり日本人向けテイストで5時間煮込んだ麦豚を

厚切りで、たっぷり使用することにしました。

上質な中でも比較的リーズナブルなフレンチフォアグラを入手しました。

フォアグラも焼き色を付けながら、溶けないように加減が重要でした。

そこに2ヶ月半、お客様の確かなご評価をいただき続けた自家製ブラックペッパーオニオンソースを

たっぷりとかけて、皆で試食をしました。

普段から厳しい方向の意見を求める試食の場で、クルー達は絶賛でした。

長い道のりでした。

あとはプライスの問題です。

普通のフレンチでは¥4,000~¥5,000はする「ロッシーニ」です。

「俺のフレンチ」でも原価率80%もかけて¥1,598です。

いかにCAPANNA風、いわゆる日本人向けにアレンジしたとはいえ、

フォアグラを含め、多くの材料と手間ひまを要します。

単純に計算しても¥2,500はいただかないと・・・。

しかし、ここは「大人の方々が気軽に食の時間を楽しむオアシス」を目指すCAPANNAです。

「お客様のより多くの笑顔が見たい」という気持ちが優先しました。

秋メニューがスタートして、まだ6日間。

¥1,480のCAPANNA風「ロッシーニ」が多くのお客様を笑顔にしてくれています。

千葉産麦豚とフォアグラのロッシーニ風 - コピー (2) (1280x853)

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