おそるべしマイペース。だったクルー
投稿日時:2013/11/09 カテゴリー名:エピソード
ある日
私の面接ではない女性が
ホールのアルバイトクルーとして
入社してきました。
とても、ほんわかした雰囲気で
とても、マイペースでした。
多忙時には、
すぐに慌てふためくタイプでした。
私と初めてホールで働いた日に
彼女はとても一生懸命に
頑張っていましたが、
心ない配膳でした。
彼女を呼び止めて
「サービスはね、配膳作業じゃない。
君の仕事はお客様に心が向いてない。
サービスは、おもてなしの心だよ。」
と私は言いました。
彼女は泣き出しました。
自分では頑張っているつもりなのですから
ショックだったのだと思います。
彼女は何か仕事を抱えていると
他が目に入らない状態でした。
私は、お客様への思いやりや
楽しんでいただこう、という気持ち、
そして、クルー同士の思いやりを
伝え続けました。
彼女は過去5本の指に入るくらい
サービスを伝えることに
手をやかせました。
彼女は、マイペースな
ほのぼのとしたタイプでした。
本人には決して悪気はないのです。
悪気がなくても、
お客様やクルー達には
要所で問題は起こりました。
それでも
CAPANNAでの各種のイベントや
誕生日や記念日でのサプライズ等、
お客様に喜んでいただいて
クルーも喜べるスタイルが
彼女は気に入ってくれたらしく
大学4年で就職も決まっていたのに
そちらを断って
CAPANNAの社員になることを
希望しました。
たった1箇所のディスプレイを
任せただけで数時間も
ディスプレイだけに没頭しました。
相変わらず、仕事がかさむと
即、テンパってしまうところも。
そして
CAPANNAの生誕5周年のイベント時、
六本木のライブバーで
フィフティーズのバンドをプロとして
やっている私の友人たちを
CAPANNAに招いて
5周年記念イベントとして
フィフティーズライブと共に
ディナーを楽しんでいただく企画をしました。
ヴォーカル、ギター、ベース、サックス、
トランペット、ピアノ、ドラムの
7人編成のライブは、迫力があり、
イベントは予約で満席で、
当日はCAPANNAの外まで
人だかりが出来てしまうほどでした。
クルーは休む間もない程に多忙でした。
でも、彼女はライブに魅せられて
一人、ホールの真ん中で
楽しそうに踊っていました。
そんな彼女ですから、
社員たちは、彼女の社員としての
入社に対して危険を感じていました。
でも私は、彼女のほのぼのとした雰囲気や
人を和ませる雰囲気だけは
理解していました。
時間はかかるかもしれない、
伝えている間に諦めてしまうかもしれない、
と思いつつも彼女の入社を認めました。
CAPANNAは毎日混雑していました。
彼女は混雑すると我を忘れました。
そんな状況での彼女は
心ない行動や言動を
お客様やクルーにも繰り返しました。
伝えても、伝えても・・・
彼女の心には届かない日々が続きました。
彼女は心ないことをしていても
頑張っているつもりですから、
私が伝え続ける意味が理解できずに
退社しようと決意した時もありました。
私も、根負けしそうな時も多くありました。
ある時から私は考え方を変えました。
彼女が持つ、ほのぼのとした雰囲気と
落ち着いていれば
お客様の心を自然と和ます部分を、
私が多忙時の段取りや難しい仕切り、
クルー同士の連携、等々
彼女を前面に出して、
彼女を慌てさせないように
後ろ側から全面的に
バックアップすることを考えました。
それは、私自身が想像以上に
負担が来ることではありましたが、
そうすることで
彼女は、彼女の素敵な部分を発揮し
次々に彼女に会いに来て下さる
常連様をつくるようになっていきました。
何年も、何年もかけて
サービスの心を
クルー同士に対する思いやりを
理解していってくれました。
きっと彼女には分からない部分で
私は果てしなく、根気強く、諦めず、
大きな大きな努力をしてきたのだと思います。
でも、反対に彼女も
私の、時に厳しい要求に対して
果てしなく、根気強く、
そして諦めずに
大切なサービスの心を理解し
それを徐々に発揮してくれました。
そんな
私の手をやかせたランキングで
5本の指に入る彼女は
今、
CAPANNAにとって
必要不可欠な
サービスプロデューサーとして
多くのホールクルーに
サービスの心を伝えてくれています。
SERVICE of CAPANNA